Workout Paradise

Bodyweight

知ってるとより楽しめるフィジカルトレーニング知識シリーズ。第一弾は自重トレ。

広告

自重トレって?

言われて思い浮かぶものってなんでしょう?

腕立て、腹筋、スクワットとかでしょうか?

まあそういう類のものが含まれるのですが、ではどんな印象持ってますか?

部活のつらい思い出?

確かに。。。

負荷が軽い?

重い負荷が上げられない初心者や子供向け?

バリエーションが少なくて鍛えられる場所が限定される?

そういう印象もあるんじゃないかと思います。

でも、実際はアドバンスなトレーニーでも十分苦しめるぐらいのトレーニングが組めます。

軍隊や警察官や消防士といった職業の従事者や、格闘技やコンタクトスポーツの選手が行う自重トレーニングはまさにハードワークです。

また、近年ではCalisthenicsやStreet Workoutといった名称で注目され、海外では競技化されているものもあるようです。

ここでは具体的なメニューの前段階の基本的な考え方を中心に見ていきましょう。

これが頭にあれば、自重トレに特徴的なプログレッションについて自分のレベルに応じて考えることができるようになるのではないかと思います。

定義

ここでの自重トレーニングは、陸上でのランニング/ウォーキング以外のフィジカルトレーニングのうち、重り(ウェイト)や機械を運動の必須要素としないものを指すことにします。

なので、特定の動作に必要な最低限の器具を使うものや、負荷を上げるためにウェイトを併用するオプションは否定しません。

ウェイトトレーニングとの違い

自重トレは負荷の軽いウェイトトレーニングという考え方は間違っていると思います。

両者は全く異なるタイプのトレーニングだと思った方がよいでしょう。

ウェイトトレーニングと自重トレの主な違いは二つです。

どちらをどう組み合わせるかの参考にもなるのではないかと思います。

トレーニング対象

ウェイトトレーニングは部位毎にトレーニング種目があり、トレーニーは目的に応じてこれらを複数組み合わせたメニューを各部位の休養期間も考慮したスケジュールで実施します。

これは、個々のトレーニング種目が対象としている部位が明確でかつ鍛えられる部位は対象の範囲に限定されているという特性を持つためです。

これに対して、自重トレーニングの動作は何かしらの形で体重を支え、全身の動きと姿勢をコントロールできるようになること自体が主目的になります。

結果的に体幹や肩甲骨周辺や腕の力を大抵のトレーニングで必要とするなど広い範囲を同時にトレーニング対象とする特性を持ちます。

なので仮に自重トレで今日は肩の日♡とか計画したとして肩だけを鍛えるってことは普通ないです。

どこに効くかは人次第。やればどこに効いてるかは感じるもの。

今のあなたに必要なところが勝手に鍛えられてしまう。それが自重トレです。

トレーニング動作

ウェイトトレーニングは重力(または張力)に対して反対方向に働く筋肉の抵抗を筋肉の成長のために効率よく利用することを基本にします。

なので、トレーニングする部位の最大筋力に応じたウェイトを選択して運動を行います。

また、トレーニーは負荷の大きさに関わらず、決まったフォームやバランスでの往復運動を行えるように注意を払います。

そうして、対象部位の最大出力を扱えるウェイトの重さで確認しながら向上させ、パワーや筋肉量の向上を図るというのが基本になります。

これに対して、自重トレーニングの動作は、荷重はおおよそ自分の体重に制限される一方、取れる姿勢や動作に自分の体以外に制約がほぼありません。

この特性を利用して、自重トレーニングは独特のプログレッションという考え方で、体力レベルの向上に合せて各トレーニング動作自体をより難しいものに変化させていくという傾向があります。

結果として自重トレーニングでは、荷重や回数よりも特定の動作やフォームが取れること自体がトレーニングの成果を示すことが多くなります。

具体的には、以下のような状況を体力レベルとスキル向上に利用します。

力を発揮しにくい位置でのトレーニング

関節をテコ(lever)として筋力をより発揮しにくい角度にアライメントすることで体重のみでも運動負荷を上げ筋力強化を図ることができます。

バランスを要求される姿勢でのトレーニング

バランスを要求される姿勢での筋力トレーニングはスタビライザーを鍛えてより強い負荷に耐えられる体を作ります。

プライオメトリクストレーニング

筋肉の伸張反射を利用したトレーニングで等速での収縮運動よりも強く瞬発的な筋力を発揮するトレーニングができます。

ウェイトトレーニングと比べた自重トレの弱点

体の強化の目的で考えた場合の自重トレーニングのウェイトトレーニングに対する弱点は以下の二つだと思います。

負荷を上げるのに周辺部位の強化や動作スキルが必要

手や前腕や肩や体幹など動作に必要な部位が多岐にわたるのでどこかに弱いところがあればトレーニングに入る前段階の準備が必要になります。

その場合は基本動作のトレーニングとプログレッションのためのスキルトレを組み合わせていくことになります。

そのプロセス自体もトレーニング効果あるので結果的には問題ないです。

でも、練習してるの見られるのが恥ずかしいとか思っちゃう人やできるまでチャレンジするのが面倒な方にはこれが問題になるかもしれません。

考えてみてください、難しいってことは、できるようになればそれだけで達成感とか自信とかにつながるわけです。

もちろん、トレーニング全般そうですが極論すればどうしてもやんなきゃいけないものじゃないので、無理にはオススメしません。

下半身の劇的な強化は難しい

日常生活で元々体重を支えている下半身は上半身に比べると元々筋力があるため、純粋な自重トレーニングメニューでは一定レベル以上に飛躍的に強化するのは難しいと思います。

もちろん普段トレーニングしてない人や一般人レベルの健康維持やパフォーマンス向上目的では、ランジやピストルやジャンプ系トレだけでも十分な効果があります。

でも常人離れした下半身のパワーやタフネスが必要な人には、バーベル/ケトルベルを使ったトレーニングや、スプリントや自転車との組み合わせをオススメします。

その他の自重トレ全般の課題

脚を相対的に使わないこともありますが、一定のペースで継続するか静止する運動の種類が多いです。

脚や股関節周辺の強化と、心肺機能や持久力(回復力)を目的にする場合にはケトルベルトレーニングやスプリント、ジョグ、ロープ等を組み合わせたインターバルトレーニングなどの構成がより効果的です。

代表的な自重トレの種目紹介

例を挙げだすときりがないですが独断で代表的なものをあげるとこんなかんじでしょうか。

難易度が高くなるとトレーニングっぽく見えなくなるのも自重トレの特長ですね。

床(またはベンチ)でやる運動

腹トレ

脚トレ

Push Up

Planche

Dragon Flag

L-sit/V-sit/Manna

Hand Stand Push Up

Flare

バー(またはリングやポールやロープ)を掴んで行う運動

Pull Up

Dip

Muscle Up

Front Lever

Back Lever

Human Flag

注意点

特別な器具を持ち込む必要がなく出張や旅行先でもできちゃう自重トレですがいくつか注意点があります。

バーの代わりにドアや梁は使わないこと

日本の建具はあなたの体重が乗っかってもよいようには作られていません。

そういうものを紹介する情報や器具販売も見られますがやめておきましょう。破損や怪我の危険があります。

バーを使いたければ公園や公共のジムなどの設備を利用しましょう。

ワークアウトの前に練習を十分行うこと

自重トレーニングは効果的に行うためにある程度のスキルを要するものが多いです。

いきなりワークアウトに入るのではなく正しいフォームで続けられる自信がつくまで練習を続けましょう。

また、難しい動作は自分ができそうかどうか大人ならわかると思います。

プログレッションは段階を踏んで準備することが大事です。

できるようになりたい種目を決めたらそれに必要な段階を踏みましょう。

成果が出るまでのプロセスを楽しむこと

一つ一つの自重トレーニングをレベルアップして動きを習得し強度に耐えられるようになるにどのくらいかかるかが見えにくいです。

できるようになるまでの練習を楽しむ意識がないと続けるのは難しくなります。

でも、乗り越えられれば、あなたの周りの9割方の人たちにはできないトレーニングを、どこでも楽しめるようになるという醍醐味があります。

最後に

基本的な考え方の紹介をさらっとみてきましたがいかがでしょうか?

自重トレやってみたくなりましたでしょうか?

楽しそうって思ってもらえれば最高なんですが。

具体的な種目のプログレッションについては、これからすこしずつ紹介していきたいと思いますのでお楽しみに。